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TOP HAT

公演日・会場:2018年12月5日(水) @梅田芸術劇場・メインホール

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▲初めての梅田芸術劇場

 

坂本さんの舞台はトニセンの「TTT 戸惑いの惑星(2017)」、
個人出演としては「シルバースプーンに映る月(2013)」以来の鑑賞でございまして。

水曜日だから休みやすいだろう…という理由だけでとったチケットはまさかの千秋楽…!
というわけで、東京初日から長い期間(!)ネタバレを掻い潜りながらのお伺いとなりました。

 

全体的な(個人の)感想としては、ジェリー・トラヴァース(坂本さん)のショウタイムと、
ジェリーとデイル(多部未華子さん)の最初は苦く、最後は甘い駆け引きでの構成だったなぁ…と。

劇中劇と日常シーンのジェリーのキャラクターの変わりようがとても、可愛くて…(笑)

ステージ上ではきりっとしていてカッコイイジェリーが、
一歩劇場の外に出た途端に少年のような顔になって、デイルの前ではもうトロトロに溶けてしまうという…

「まだおやすみを言ってないよ?」というデイルへの声かけの後の"椅子からずり落ち"がまさにそうだった!
あれが一番の萌えポイントかと。

 

ここからは1幕、2幕と個人的にグッときたポイントをご紹介。

 

【1幕:ブロードウェイからロンドンへ】

・冒頭から魅せてくれるジェリーとアンサンブルダンサーの皆様!

”Puttin' On the Ritz”が始まるやいなや、舞台上はきらびやかなブロードウェイの世界へ。
この時のアンサンブルダンサーの皆さんが来ていた衣装が大のお気に入りでして!

男性は青のジャケット、女性は黄色のベストとそれぞれ煌びやかな衣装で、思わず「綺麗だなぁ」とつぶやいたほど。
坂本さんはもちろんのこと、ダンサーの皆さんもダンスやタップが上手で見惚れてしまいました。

 

・"No Strings"のシーンでの演出

ホテルの部屋で上機嫌のジェリーがタップダンスをして、下の階のデイルが苦情を言いに来るというシーン。
この時、ジェリーがいる上の階とデイルがいる下の階の様子が、踊るジェリーの背景で繰り広げられるのですが、

バックに作られた筒状のセットの下の部分にベッドに座っているデイルの”部屋”が、
上の部分には背景ライト強めで影になったダンサーさんが一人、ジェリーと同じ振付で踊っていました。
(パンフレットにはシャドー・ジェリーとの記載がありました)

上でジェリーがこんな感じで踊っていて、下のデイルが迷惑してますよ…というのがよくわかりました…

 

・アルベルト(屋良さん)とロンドンのホテルの従業員の喋りについて

かねがね噂に聞いていたアルベルトのキャラの強さについてですが…
聞くと見るとでは違いがあるもので…やっぱり実際の方が良かったです(笑)

届いた電報を縦読み(?)して暗号状態にしてしまったりするところや、
巻き舌気味で「~なぁの」とナ行を強調した(?)喋り方は本当にクセになりまして…

あとはブロードウェイ(ニューヨーク)からロンドンという"異国"へ移動しているという設定からか、
ホテルの従業員の一部の喋り方が少し訛っていたのも印象的でした。

 

・いつの間にか”ロンドンの劇場の観客”になっている一幕のラスト

ロンドン公演という設定で披露される”What Is Love?”(ガールズアンサンブル)と”Top Hat, White Tie and Tails”。
2曲の間に楽屋のシーンが挟まれるものの、気が付くとロンドンの劇場でステージを見ているような錯覚が。

それまで見ていた”青年”ジェリーと”役者”ジェリーとのギャップがまたいい感じで、
ラストの拍手の時にはそこが大阪・梅田だということを一瞬忘れてしまったような…

 

ここで一旦、25分の休憩に入るわけなんですけども、
休憩時間の間、”カモメの鳴き声とさざ波”のBGMが客席内に流れていました。
この後の2幕の舞台がイタリアのヴェニスに変わるため…なのかなぁ…と。

 

【2幕:イタリア・ヴェニスのホテル】

 ・執事ベイツ(浅野和之さん)大ハッスル

2幕からはアルベルトが大いに動き始めるのですが、それを喰う勢い(!)で存在感を出し始めるのがベイツ。

ジェリーをロンドンに呼んだプロデューサーのホレス(益岡徹さん)の執事で、
一幕の"No Strings"のシーンから存在感を見せるのですが、
デイルの”勘違い”を期により一層の活躍を見せることになるわけで…

ヴェニスのホテルのウェイターやシェフ、デイルを古くから知る(という設定の)ご婦人、ゴンドラ漕ぎ、
アルベルトとデイルの結婚式(※シーンはなく事後報告)の牧師…とまぁ、名キャラぶりが光っておりまして…

 

・アルベルトソロ”Latins Know How”に混ざるあの"名作キャッチフレーズ”と伝統のターン

アルベルト最大の見せ場であるソロ曲、”Latins Know How"。
歌いだしが「恋をするならぁ~♪」だったのですが、それを聞いた瞬間「あっ…」と思い出したある案件が一つ。

今年の9月に刊行された「TVガイドPERSON(Vol.73)」にて坂本さんが表紙を飾った際に
使われたキャッチフレーズが"恋をするなら坂本昌行"だったわけで…
訳詞があっての"この"キャッチフレーズなのか…それとも…とふと思ってみたり。

そしてアルベルトの事を「あまり踊らないキャラ」と屋良さんはおっしゃっていたのですが、
このシーンでは軽やかなステップを魅せてくださり、「おお…やはりカッコイイ」としみじみ思いまして。
ターンも切れ良くかつカッコいい”ジャニーズターン”だったのでさすがだなぁ…と。

 マサさんにも恋するけど、屋良さんにも恋しちゃっていいですか!

 

・マッジ姐さん最強説

今回のストーリーの主軸になっているのが、”デイルがジェリーの事をホレスと勘違いする”という案件でして、
マッジ(朝海ひかるさん)はホレスの奥さんでデイルの友人という位置づけの人物。
要するに、デイルは「友人(マッジ)の旦那さん(ホレス)を好きになってしまった…!」と、思い込むわけで…

ちなみに姿を現すのは2幕から。絶妙にかみ合わないデイルとの会話はとても面白く!

その後も騒動のとばっちりを受けて過去の”浮気”を告白させられるホレスや
気が動転して暴走するアルベルト(※前のシーンで服を脱いでいるため薄着)をたしなめたり…

今回の登場人物の中ではしっかりと足が地についている、安心の(!)キャラクターでした。

 

総じて、煌びやかなミュージカルだったなぁ、と。
カーテンコールでキャストはもちろんオーケストラの皆さんも労っていた坂本さんの姿が印象的でした。
余韻に浸りつつ、ちょっと早いけど、いいクリスマスプレゼントになったなぁと思いながら劇場を後にしました。

 

ちなみに…
フレッド・アステアさんがジェリー役を演じられていた映画版のほかに、
宝塚歌劇団による上演版もあるそうですね…こちらも気になる…
あ、あとロンドンキャスト版のサウンドトラックはおなじみitunesにてダウンロードできますので!
英語詞ですが名曲を振り返りたい方は是非!